無駄口を叩いて渡る世間に鬼瓦

映画について、深読みしたり邪推したり。時折、映画以外の話をすることもあります。

Blood and Bramble:ウォーハンマーRPG4版

2022年最初の記事となります。冷え込む日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。手前はと申しますと、クリスマス前と予告されていた『The Imperial Zoo(帝立動物園)』の発売が遅れているため、他の追加資料を読んで心を落ち着かせているところです。

読んでいるのは昨年12月下旬に発売された2つのPDF『Hirelings of the Old World(オールド・ワールドの雇われ人)』そして『Blood and Bramble(血と棘)』であります。

Brambleが「木苺」なのか「茨」なのかどちらか手前には判断つきませんので、とりあえず不吉そうな語を選んで「血と棘」と仮称することに致しましょう。

『Hirelings of the Old World(オールド・ワールドの雇われ人)』
表紙の下部に副題がございます。「ウォーハンマーRPGにおける四人の“信頼できる”雇い人」。あえて強調しているところが不穏な感じがして良いですね。

貴族のボディガードを勤めていたオウガや、ユーベルスライクの犯罪王に仕える密偵など四名のNPCを紹介しております。もちろん数値的なデータだけでなく、彼らの背景や各々の野心が記述されており、彼らがきっかけになる冒険のシナリオフックも掲載されています。

英語版で既刊の『Patrons of the Old World(オールド・ワールドの後援者)』がPCの雇い主になる可能性のある人物を紹介しているのに対して、PC「」雇い主になる可能性のある人物を扱う資料となるものです。『Patrons of the Old World』と『Hirelings of the Old World』両者とも文章の記載の仕方が共通しておりまして、内容と形式いずれも対になってございます。

さて先程四名のNPCと申しましたが、掲載NPCはそれで全てではございません。彼らの現在の雇い主や友人、敵対者も何人か掲載されております。

とはいえ、不思議なことにデータが全く同じ人物が複数載っていたり、所持しているアイテムが何故か共通していたりと、誤植ではないかと思われる箇所があります故、後日訂正が入るかもしれません。もう少し様子を見守る必要がありそうです。

『Blood and Bramble(血と棘)』
こちらの副題は「似非魔術師と魔女のための二十と四の呪文集」となってございます。

二十四ではございません、二十と四です。英語でそう書いてあるのです。一応念の為新呪文を数えてみました。二十四個ありました。

冗談はともかく、副題の通り似非魔術師と魔女のための追加呪文集にございます。邦訳版が既に出ている『比類無く有益なスラサーラの呪文集(Sullasara's Spells of Unrivalled Utility)』が帝立魔法大学校に属している魔術師のための追加呪文集であるのに対し、こちらは帝国領内で活動を認められていない非公認の魔法使いのための追加呪文です。

付け加えておきますと、冒頭のページは魔狩人“火炙り薪”ゴットフリート師による報告書という体裁で始まってございます。したがいまして意見に偏りがあります。非公認魔術師の皆様は読んでいて不安になるかもしれませんがご心配なく。そのまま読み進めていただいて何ら問題ございません。

『Blood and Bramble』に掲載されている12の追加呪文により、似非魔術師の活躍の幅が大きく広がります。悪霊払いの香油を作り<エーテル状態>のクリーチャーにダメージを与え、清冽な泉の水を用いて解呪を行ない、骨接ぎの呪文でクリティカルヒットを治療する。新たな呪文は様々な局面で役立つことでしょう。

戦闘における火力でこそ魔法大学校の魔術師に劣りますが、仲間をサポートする役回りでの活躍が期待できましょう。

何より、いずれの呪文も発動に必要なCNが0なのです。

さて、邪悪な魔法使いのそこのアナタ!俗魔術も同じく12の新呪文が追加されてございます。
状態異常を起こさせたり、他人の幸運点を盗んだりと、いかにも邪悪な呪いの数々。骨砕きの呪文でクリティカルヒットを与えることもできますし、逃げ出した手下がどこにいるのか突き止めるために役立つ呪文も用意してございます。

追加呪文により活躍の機会が増えるだけではありません。左様、『Blood and Bramble』は単なる呪文データ集ではないのです。幾つかのサプリメントに言及はあったものの、これまで死に設定となっていた内容の詳細が描かれてございます。

すなわち、オールド・ワールドの精霊たちに関する記述です。

似非魔術師の技能に<知識:精霊>がございます。しかし精霊についてはこれまで明確なルールが無かったため、使い道のない技能でした。

『Blood and Bramble』では「骨泥棒モロック」ほか3種類の精霊が紹介されています。さすがウォーハンマーRPGだけあって、よくある四元素の精霊だのといった判りやすいものではございません。

精霊たちに関する設定や精霊が似非魔術師に与えてくれる加護について、そして精霊との交渉に必要なものについて記述がございます。

交渉に必要なものというのは、要するに加護を得るための精霊への捧げ物です。ルールブック78ページの似非魔術師もライク河の地域神“ライク爺様”への供物について語っていましたが、まあそういったものです。

例としては鼠や羊の骨とか、一枚の銀貨だとか、精霊に捧げる歌といったものです。術者の大切な記憶や目の色といった不可思議な要求をすることもあるようですね。

いずれにせよオールド・ワールドの精霊たちは古の契約に基づき、願いを叶える際は代価を求めてくるものでございます。

似非魔術師が精霊と交渉することが出来るようになった一方、俗魔術の体系にも新たな可能性が開かれました。悪霊や怨霊、あるいはレッサー・ディーモンを召還する呪文が追加されています。ロールの結果によっては、グレーター・ディーモンを呼び出すことも出来ます。

申し添えておきますが、この呪文には呼び出した存在を従わせる効果はございませんので、術者の命令を聞くかどうかは交渉によります、ご健勝を

エンパイアの臣民にとって、はぐれ魔術師は混沌教団とはまた別の脅威となるわけです。魔法学府とも混沌教団とも関係のない悪役というのは、GMにとっても使いでがあることでしょう。

後半には、いわゆる「良い魔法使い」「悪い魔法使い」のサンプル事例となるNPCが掲載されており、彼らにまつわるシナリオフックも紹介されています。いずれのシナリオフックも興味を惹かれる内容でした。

そういうわけで今回は、『比類無く有益なスラサーラの呪文集』に比肩するほど有益な呪文集『Blood and Bramble』の紹介でした。


さてと…、
魔狩人さん、こっちです!