無駄口を叩いて渡る世間に鬼瓦

映画について、深読みしたり邪推したり。時折、映画以外の話をすることもあります。

Night Parade:ウォーハンマーRPG4版

 死霊術師の 触れ役が
 鍔広帽子を 引き上げた
 帽子の下より 現れたるは
 笑顔の張り付く 肉無き髑髏
 邪術で燃え立つ 虚ろな眼窩
 慄く村人 前にして
 只の一言 かく宣えり
 「皆様の屍を頂戴します」

ウォーハンマーRPG第4版に新たな追加サプリメントが登場しました。キュービクル7エンターテイメントの発売スケジュールに全く掲載されていなかったので不意をつかれましたが、実に嬉しい驚きです。

クリーチャー強化データ集の2冊目となる『Night Parade(百鬼夜行)』の形式はPDF、内容はアンデッドの強化テンプレートとなります。

これまでもウォーハンマーRPG第4版では、同系統の役割を持つ書籍は体裁をそろえてございました。

例えば内容が対になるNPCデータ集『Patrons of the Old World(オールド・ワールドの後援者たち)』と『Hirelings of the Old World(オールド・ワールドの雇われ人たち)』は同じ書式で書かれています。

あるいはシナリオフック集『ライクランドの記念碑(Monuments of the Reikland)』と『Shrines of Sigmar(シグマーの聖堂)』は、章立てや構成にいずれも同じ形式を採用しています。

クリーチャー強化データ集の1冊目『Cluster Eye Trive(百眼族)』では、フォレストゴブリンの群れ“百眼族”を題材に、「族長」「呪術師」「精鋭」などの役割に応じた能力値と異能の強化テンプレートが紹介されていました。オークやゴブリン、獣人などの文明化されていない種族を想定した強化テンプレートでございます。

今回発売された『Night Parade』に掲載されている組織は、ジャスパー翁率いるアンデッドの群れとなります。

その様子は名に違わずまさにパレード。鐘を鳴らし踊りながら練り歩くゾンビの一団、髑髏の群れが聖歌隊のごとく合唱し、奇怪な行列の中心には動く屍で飾られた山車、山車の上に乗るのは首魁のジャスパー翁。

斯様に芝居がかった集団でありますが故、決め台詞も同じくらい芝居がかっております。

さて、先程手前は山車と申しました。追加モンスターとして屍車のデータが掲載されています。左様、ウォーゲーム版のウォーハンマーでも登場する“コープス・カート”のデータであります。

死霊術師と周囲のアンデッドを強化したり、敵対する魔術師の魔法発動を妨害したりと様々な場面で活躍できますので、死霊術師の皆様の騎乗動物として最適です。

『Night Parade』に掲載されている強化テンプレートの例を挙げましょう。

ルールブックに載っている下級のアンデッドがザコくてお悩みのGMのそこのアナタ!

「ワイト」のテンプレートを用いれば、スケルトンやゾンビが見違えるように強力なアンデッドになります。

もちろん、ワイトもしくはそれに類するスケルトン・チャンピオンは、これまで発表された幾つかのシナリオにNPCとして登場しています。

あるいは、『Imperial Zoo(帝立動物園)』にはモンスターデータとして死霊騎士(ワイト)が掲載されています。単に強力なアンデッドが必要なのであればそれらを流用するのも良いでしょう。

しかし、『Night Parade』のデータを用いれば、アナタだけのワイトを作ることが出来ます。それだけではありません、さらに強力なアンデッドのチャンピオンさえ作れるのです。

とはいえ、このテンプレートには今までの資料集で登場したワイトと整合性が取れない箇所が若干ございます。〈魔法被造物〉を〈心理ルール無視〉と〈魔法的〉に置き換えた方が良いのではないかとも思うのです。

ひと味違う乗騎を探している死霊術師のそこのアナタ!アンデッドの乗騎はいかがでしょう。

「骸骨軍馬」「屍の乗騎」のテンプレートは馬だけではなく、グリフォンのゾンビや大蜥蜴のスケルトンにも適用出来ます。GMはうんと想像力を働かせてみてください、そこには新たな可能性が広がっています。

なお、スケルトンにしてしまうと〈飛翔〉のクリーチャー特徴が失われてしまいます、ご注意ください。

長編キャンペーンシナリオの終盤に登場するような強大な悪役がご入り用でしたら、「屍王(Liche Lord)」のテンプレートがございます。

死霊術を極めて死から逃れる方法を見出した者だけが到達できる、まさにアンデッドモンスターの究極形、死霊術が築いた金字塔。

そういえば、金字塔ってピラミッドのことなんでしたっけ。ウォーハンマー世界で最初に死霊術を編み出したのも、ピラミッドがそびえる古代ネフェキーラ文明の都クェムリの祭司でした。

まあそういうわけで、「屍王(Liche Lord)」「屍使い(Liche Corpsemaster)」いずれもネフェキーラ語を話せるのであります。

儀式を経て死から甦ったばかりの死霊術師は、変容の過程で生前の力の大半を失っているようです。
それでも、「屍王」になるほど生き延びた、・・・生きていないですけど、者は帝立魔法大学校の主席魔術師に匹敵するほどの力を身に着けることになるのです。

何故そう言えるのかと申しますに、つい先日発売された『Winds of Magic(魔力の風)』にサンプルNPCとして主席魔術師が何人か掲載されていたからでして。