無駄口を叩いて渡る世間に鬼瓦

映画について、深読みしたり邪推したり。時折、映画以外の話をすることもあります。

ブルーミルク作ってみた『Star Wars: Galaxy's Edge: The Official Black Spire Outpost Cookbook』

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Bantha_Chai



正確にはブルーミルクではなく、ブルーミルクティーとでも言うべきものとなりますが、とにかくまあ、作ってみたわけです。

念のため申し上げておきますが、手前はスター・ウォーズヲタクであったことは今まで一度たりともないわけです。従いまして惑星タトゥイーンに行ったことなどありませんし、荷役動物としてバンサを飼っている知り合いも居ないわけです。それでも、「もしあなたがバンサを飼っていないのであれば、この作り方で十分事足りると言っておきたい」と、この本の著者(ということになっている)ストロノ・タッグズ氏が記していましたので、安心して作業に取りかかることができました。

そうです、手前ついに入手いたしました、『Star Wars: Galaxy's Edge: The Official Black Spire Outpost Cookbook(スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ:ブラックスパイア・アウトポスト公式料理ブック)』を!

スター・ウォーズの料理についての公式本ですが、これはキャラ弁作りのガイド・・・例えば海苔や薄焼き卵を切ってBB-8やデス・スターの絵を描いたおにぎりやサンドイッチを作るための本・・・ではない、そのことをまずは強調しておきたい。

スター・ウォーズ エピソードⅦ フォースの覚醒』に登場したマズ=カナタの城、惑星タコダナにある・・・というか「あった」、ファーストオーダーの空爆で瓦礫になってしまったあの城・・・で料理長を務めていたストロノ・タッグズ氏が銀河各地を旅して各惑星の郷土料理を体験し、それをアレンジして書いたレシピ集、という体裁でスター・ウォーズの世界の料理を語った本なのです。

しかも、これこそが何より肝心、どの料理も地球にある食材を使って再現できるのです。

これらはほんの一例ですが「沼惑星ダゴバの根菜シチュー」、「マンダロアのスパイシーシチュー」、俗説によるとファリーンの王族プリンス・シーゾーにちなんで命名されたという「シーゾーサラダ」等々。料理だけではありません、菓子やカクテルも載っています。アニメシリーズ『スター・ウォーズ 反乱者たち』に登場するオールド・ジョーが店で出していたという特製ビール、運良くケッセル=ランから生還したなら是非おすすめするカクテル、後がない密輸業者が命がけの仕事を請け負う前に飲む強烈な酒に至るまで、いずれも実際に作ることが出来るのです。

“クッキー”タッグズ氏がどのような経緯を経てこのレシピにたどり着いたかを各料理の一つ一つに対して書き記しており、仮に料理を作らないとしても、読み物としても十分に面白いものです。砂漠の惑星タトゥイーンで水を節約するために加えている食材の話、マンダロアの食文化についても少しだけ触れていたり、ナル=ハッタで出会った珍味の話なんかも良いですね。

料理集としてもとても興味深い。一般的な○○風料理という区切りでは考えもつかない食材と調味料の組み合わせ方をしています。カレーに豆腐を加えるというアイデアはどこから出てきたのでしょう。確かに麻婆豆腐は辛い味付けの食べ物ですが、カレー豆腐という発想は手前にはございませんでした。己の視野の狭さを恥じ入るばかりであります。ニョッキにタイの香辛料を合わせたり、クスクスを醤油で味付けしたり、チアシード抹茶とでも呼ぶべきものもありました。従来の料理ジャンルの区切りからはみ出した意外な発想です。

 西部劇にSFと黒澤時代劇を組み合わせたスター・ウォーズにふさわしい料理帳であると手前感心いたしました。

先に挙げた材料の幾つかから「何か嫌な予感がした」人も居るかもしれません。調味料や食材の幾つかは、輸入食材専門店に足を運ばなければ入手できないものが有るでしょう。それでも、ナル=ハッタやジャクーのような無法地帯を旅する必要もなく、ちょっとした規模の専門店まで冒険に出れば、様々なレシピに挑戦できるはずです。