無駄口を叩いて渡る世間に鬼瓦

映画について、深読みしたり邪推したり。時折、映画以外の話をすることもあります。

2007-01-01から1年間の記事一覧

映画館と観客の文化史

幾分大袈裟に過ぎるかもしれませんが、この本は従来の映画史を根底から覆しかねない一冊と申し上げてよいでしょう。 英国の作家ダグラス・アダムス氏によれば、文明はその発展段階に応じて典型的な三つの問いを発するそうです。最初は“いかに”、次に“なぜ”、…

フランダースの犬 あるいはハリウッドでは何故ハッピーエンドが望まれるのか

アメリカで実写版『フランダースの犬』が公開されたとき、ハッピーエンドに差し替えられていた、それどころか原作どおりのエンディングで公開された国はきわめて少数だった、という話は手前も以前から耳にしておりました。 アメリカ公開版を見たことがござい…

『千と千尋』が『もののけ姫』の続編であることの根拠

以前ブログの記事で、『千と千尋の神隠し』と『もののけ姫』には共通する題材が多く使われている旨、申し上げました。 最近二・三気が付いたことがございまして、そこから推論いたしますに共通する題材や同一の話題が扱われている以上の強力な結びつきがこの…

市民ケーンと007、両方のモデルになった大富豪 その3

前回に続きまして、有名な映画のモデルになった実在の大富豪、ウィリアム・ランドルフ・ハーストについて話しをいたします。 『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』に登場する悪役、エリオット・カーバーは、新聞王ハーストをモデルに創造されています。カー…

市民ケーンと007、両方のモデルになった大富豪 その2

前回は、オーソン・ウェルズの映画に登場する新聞王ケーンの生涯について、モデルとなった実在の新聞王ハーストそっくりに作られている、と話しました。本日は、映画と実在の新聞王の人生で異なっているところから話を始めましょう。 新聞王ケーンが愛人を舞…

市民ケーンと007、両方のモデルになった大富豪

以前予告いたしました『市民ケーン』とスパイ映画『007』シリーズの共通点について話をしましょう。 オーソン・ウェルズ監督による『市民ケーン』は、従来の映画の技法を片っ端から詰め込み、ハリウッドの誇る不朽の名作に数えられています。 一方、こう…

ハクの本名の漢字表記を推定する。『千と千尋』について考えたこと。

ひとつ気が付いたことがありましたので、書き留めておきます。 先日、『千と千尋の神隠し』に登場する少年、ハクの正体は古事記・日本書紀にも登場する神、ニギハヤヒがモデルではないか、と記事を書きました。その件に関しまして、もう一つ。 最初は気にし…

千と千尋ともののけ姫とトトロについて その2

前回に続きまして、『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』の間で共通する題材について話を致します。 前回は『もののけ姫』には、神話に対する民俗学の解釈が使われている、と話しました。 古代史においては、鉄製の武器を持つ王朝によって各地の豪族が打ち…

千と千尋ともののけ姫とトトロについて

ひさし鰊(ぶり)の更新となりました、本日は、宮崎駿監督の大ヒット作『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』の間で共通する題材について、話を致しましょう。 その前に、ひとつ考えておきたいことがあります。『もののけ姫』はいつの時代を舞台にしているの…