無駄口を叩いて渡る世間に鬼瓦

映画について、深読みしたり邪推したり。時折、映画以外の話をすることもあります。

#映画レビュー

スター・ウォーズ エピソードⅨ スカイウォーカーの夜明け

公開されたばかりなので極力ネタバレなしで参ります。 監督はJ・Jエイブラムス氏、『LOST』『エイリアス』『フリンジ』などの連続ドラマの脚本・監督で名を上げて映画の世界にも進出した方です。思いますに、エイブラムス監督の映画にしろドラマにしろ、マン…

親と子と宇宙人もの②『ザ・プレデター』

宇宙番長プレデターさんがナードをリスペクトした、記念すべき映画です。 前回述べましたように『ザ・プレデター』もまた『クワイエット・プレイス』同様に、親に疎まれていると誤解していた子と、子との距離をうまく測れずにいた親の話であり、壊れかけた家…

親と子と宇宙人もの①『クワイエット・プレイス』

図らずも同じ展開・・・とは言わないまでもまあ、構造に類似した箇所のある映画を二本立て続けに拝見いたしました。『クワイエット・プレイス』と『ザ・プレデター』であります。一体全体どこが類似しているのか、それは今回のお題の通りであります。 もそっと…

メキシコ革命もの西部劇『ハン・ソロ:スター・ウォーズ・ストーリー』

『スター・ウォーズ』シリーズの映画で、必ずどこかに登場しているシリーズ皆勤賞のコンビ、C-3POとR2-D2がどこに映っているか、手前初見では見つけられませんでした。しかしながら、一度ストーリーを確認できれば、物語の時系列から推測するに彼ら…

ダークセイバーの話をしようか『ローグ・ワン:スター・ウォーズ・ストーリー』

手前はスター・ウォーズヲタクであったことは無いのですが、少々気になったことがございますので重箱の隅を突つかせて頂きたく存じます。『ローグ・ワン』によると、宇宙要塞デス・スターの建造責任者はオーソン・クレニック長官、設計はゲイレン・アーソと…

神話の構成と『リメンバー・ミー』

『リメンバー・ミー』を観て、より正確にはこの映画の悪役を見て、手前はヒヤヒヤしておりました。 この映画の悪役は“相方の作品を奪って自分の名前で世に出し、世界的名声を手に入れたカリスマ”です。 えっ!いくら故人だからとはいえ、ピクサー自ら創業者…

悪役がジョブズ『くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密』

悪役がジョブズ、どこからどう見てもスティーブ・ジョブズ。黒のタートルネックシャツにジーンズ、スニーカーを履き上着はハイテク化繊素材のベスト、首から情報端末らしきものを下げている。若い頃にガレージで起業した実業家で、派手なプレゼンテーション…

惜しい、押井くない。『ゴースト・イン・ザ・シェル』

正直驚きでした。台詞の文末が「バカヤロウ」「コノヤロウ」でないビートたけしを映画館で見ると、これほど違和感があるとは。 冗談はさておき、この映画の原作は・・・、えーとどちらがメインの素材であるのか推し測り難いのですが、士郎正宗の漫画もしくはそ…

行け!のぼう様『花戦さ』

観て参りました『花戦さ』。『のぼうの城』に続いて今回も野村萬斎が豊臣秀吉に楯突く映画でございます。 野村萬斎が演じますのは、『のぼうの城』と同じくのぼう様。とはいえ今回は木偶の坊ならぬ、いけのぼう(池坊)様。華道池坊流の開祖とされる池坊専好…

ループしてます。『ミス・ペレグリンと奇妙な子供たち』

ループしてます。ループしているんです、監督が。ティム・バートン監督の映画は共通のモチーフが繰り返し使われておりまして・・・、 モチーフとしては、例えば遊園地。特に『チャーリーとチョコレート工場』ではその傾向が顕著です。付け加えるなら、遊園地の…

この飯、疎かに食う『マグニフィセント・セブン』

仮にローズ・クリークの牧師が往年のクリント・イーストウッドだったなら、バーソロミュー・ボーグごときの木っ端悪党、上映開始15分で始末を付けていたものと思います。今のイーストウッドでも60分は掛からないでしょう。 あるいは、リー・ヴァン・クリ…

『ダークナイト ライジング』はバットマンについての究極の原点回帰である

映画『ダークナイト ライジング』は、バットマンの物語についての究極の原点回帰である。『二都物語』を引用していることから原点回帰の意図は明らかである。 何言ってんのこの人、みたいな顔でこちらをご覧になっているそこのアナタ!お疑いのアナタのため…

グリーン・ホーネット

グリーン・ホーネットことブリット・リードは悲劇のヒーローである。しかし、それは父親を殺されたという設定上の悲劇に因るものではない。手前斯様に考えております。 正直バットマンやスーパーマンと比べるとグリーン・ホーネットは、どちらかというと有名…

非モテVSぼっち『ゴーストバスターズ(2016)』

物語の構造:友達の少ない非モテと、友達が一人もいないぼっちがケンカして、友達の少ない非モテが勝つ。 冗談はさておき観て参りました『ゴーストバスターズ』、80年代に大ヒットした同名映画のリメイクで御座います。リメイク元の映画はポップカルチャー史…

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅

実は手前、この映画を楽しみにしておりました。 何故なら、『アリス・イン・ワンダーランド』の続編だからです。もちろん、前作はティム・バートン監督のフィルモグラフィの中ではいまいち精彩に欠ける印象は拭えません。意図していた展開を会社に蹴られる等…

「ジョン・ウィック」高レベル亜侠の冒険

物語の要旨 かっこいいサタスペ ジャンル セガール系アクション 上記のキーワードを見て脳の奥底にあるニューロンが発火したそこのTRPG者のアナタ!「アジアンパンクRPG サタスペ」で自分のキャラクターを動かす際にどうしたら格好良く演出できるか迷…

「ライチ☆光クラブ」あるいはフランケンシュタインの隠し要素解釈

原作漫画がヴィレッジヴァンガードで平積みされているのをよく見かけます。漫画原作の映画が大流行中の昨今でも、中々見かけない納得の再現度。この画の人物を立体に起こしたら確かにこうなるだろうなという説得力のある実写化でした。 ヒロインを演じている…

贋の神と二世の髪「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」

今回の映画でもレックス・ルーサーの頭はフサフサです。それには物語構造上の論理的な理由があると手前考えております。 ご存じの方も多いでしょうが、原作コミックのルーサー氏は、客観的かつ穏当な表現で申し上げまして、頭髪がありません。 リチャード・…

ホームズがモテないのはどう考えても「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」

1、ホームズは友達が少ない さて、前回は「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」を題材にとって、ホームズ=ジェームズ・ボンド仮説の近年の展開についてお話しした訳です。今回はもう一方のホームズ解釈について考えてみましょう。 ホームズ=ボンド…

全英チェスボクシング王者決定戦inライヘンバッハ「シャーロック・ホームズ:シャドウ・ゲーム」

1.ホームズ=ビクトリア朝のジェームズ・ボンド仮説 監督はガイ・リッチー、ホームズ役をロバート・ダウニーJr.、相棒のワトソンを演じるのはジュード・ロウ。アクション要素を強めた「シャーロック・ホームズ」シリーズの二作目となります「シャドウ・ゲー…

西部劇は歯が命「ランゴ おしゃべりカメレオンの不思議な冒険」

時代劇の鑑賞ポイントとして、その時代劇がどの程度本気であるか測る指標として、月代(さかやき)・・・えーと、マゲの周りの頭頂部から前髪部分にかけての剃っている部分のことです、の伸び具合に注目するという見方が有ると言われます。 どういうことかと申…

紹鴎様とお呼び「利休にたずねよ」

しばらく前のことになるのですが、この映画を劇場で観たのです。市川海老蔵が千利休役と聞いて、劇場に駆けつけたのです。利休の死に隠された謎がうんたらかんたら~、というのがキャッチコピーで、海老蔵が主演。これには期待いたしました。 史実として、利…

007 スペクター

港のヨーコ 横浜スペクター そういう映画です。 何を言っているのか判らないと思いますので、説明させてください。 まずは、この映画を撮った監督の傾向から述べて参ります。 1、監督の傾向:鏡像と家族と逆光 『スペクター』を撮ったサム・メンデス監督の…

ターミネーター新起動(ジェニシス):サラ・コナーはツンデレ戦闘ヒロイン

1、あらすじ サラ・コナーはツンデレ戦闘ヒロイン。お義父さんはターミネーター。未来人カイル・リースと三人で、タイムトラベルのせいですっかり複雑化した家庭問題と向き合うのだ。銃とプラスチック爆弾で。 本当なんですって!本当にそういう映画なんで…

ゾンビとはお前らである 『ウォーム・ボディーズ』

1、物語の内容は「ロメロとジュリエット」 ゾンビが主人公の恋愛映画、『ウォーム・ボディーズ』観てきました。 登場人物の名前や場面などで所々「ロミオとジュリエット」を思わせる部分がありますが、この映画においては、むしろ「ロミオ」ではなく「ロメ…

『千と千尋』が『もののけ姫』の続編であることの根拠

以前ブログの記事で、『千と千尋の神隠し』と『もののけ姫』には共通する題材が多く使われている旨、申し上げました。 最近二・三気が付いたことがございまして、そこから推論いたしますに共通する題材や同一の話題が扱われている以上の強力な結びつきがこの…

千と千尋ともののけ姫とトトロについて その2

前回に続きまして、『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』の間で共通する題材について話を致します。 前回は『もののけ姫』には、神話に対する民俗学の解釈が使われている、と話しました。 古代史においては、鉄製の武器を持つ王朝によって各地の豪族が打ち…

千と千尋ともののけ姫とトトロについて

ひさし鰊(ぶり)の更新となりました、本日は、宮崎駿監督の大ヒット作『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』の間で共通する題材について、話を致しましょう。 その前に、ひとつ考えておきたいことがあります。『もののけ姫』はいつの時代を舞台にしているの…

チャーリーとチョコレート工場 その2

前回に続きまして、『チャーリーとチョコレート工場』について話をいたします。今回は、ジョニー・デップが演じた天才発明家にしてチョコレート工場の経営者であるウィリー・ウォンカについて、前回とは別の視点から考えてみたいのです。 結論から申し上げま…

チャーリーとチョコレート工場

本日は、ティム・バートン監督による『チャーリーとチョコレート工場』について、今までの同監督の作品における共通点及び差異と比較して考えてみましょう。 この映画の主人公に該当する人物は二人おりまして、一人は子役のフレディ・ハイモア君が演じており…