無駄口を叩いて渡る世間に鬼瓦

映画について、深読みしたり邪推したり。時折、映画以外の話をすることもあります。

ローディアン・スプライスを作ってみた

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Rodian splice


写真の通り、3層のカクテル「ローディアン・スプライス」を作ってみました。名前から推測が付いた方もいらっしゃることでしょう、『Star Wars Galaxy's Edge : The official Black Spire Outpost Cookbook(スター・ウォーズ ギャラクシーズ・エッジ ブラックスパイア・アウトポスト公式料理ブック)』に掲載されていたカクテルです。

ローディアンとは『スター・ウォーズ』シリーズに登場する種族で、その名前からお察しの通り、彼らの故郷は惑星ローディア。ウーキーやトワイレックのように主人公ご一行様のメンバーになった例こそまだありませんが、脇でのローディアンの登場頻度は以外と高いのです。例を挙げましょう、『エピソードⅥ ジェダイの帰還』ではマックス・レボ楽団の一員として登場し、『ハン・ソロスター・ウォーズ・ストーリー』ではエンフィス・ネストの配下、その後同一のキャラクターが『マンダロリアン』で賞金稼ぎギルドのメンバーになっています。『反乱者たち』にもローディアンは登場しており、スター・ウォーズ世界ではメジャーな種族と判断できます。

とはいえ、最も有名なローディアンは『エピソードⅣ/新たなる希望』の前半、モス・アイズリーの酒場に現れたグリードでしょう。酒場の名前はチャルマンのカンティーナ。ルークに続いて店に入ろうとしたC-3POに向かって「うちじゃドロイドはお断りだ」とか言っていたのがこの店のオーナーのチャルマン・・・ではない、と言っておきましょう一応念のため。

チャルマンのカンティーナでは様々な種族が登場していました。デヴァロニアン、デュロス、ビス、チャンドラ=ファンなどなど。ほとんど台詞もないカンティーナの客の中で、主人公一行に絡んでくる人物が3名おりまして、まずアザラシに似たアクアリッシュ種族のポンダ・バーバ、彼とコンビを組んでいる賞金首の人間ドクター・コーネリアスエヴァザン、そしてローディアンのグリード。

ちなみに、ポンダ・バーバとドクター・エヴァザンはチャルマンのカンティーナで主人公ルークに因縁を付けてひどい目に会うのですが、このコンビは『エピソードⅣ 新たなる希望』の前日譚である『ローグ・ワン:スター・ウォーズ ストーリー』にも一瞬登場しています。惑星ジェダの通りで主人公一向に肩がぶつかったと因縁を付ける役で、ほんのわずかな出番ですが、物語上の時系列ではこの直後にあたる『エピソードⅣ』でもまた主人公に喧嘩をふっかけているという。銀河系のどこに行ってもやることが変わらない連中だなあと、そう申し上げておきたい。

この二人組が直接画面に映る場面こそ有りませんが、ポンダ・バーバとドクター・エヴァザンは『ハン・ソロスター・ウォーズ ストーリー』に登場する犯罪結社クリムゾン・ドーンとも関わっているという設定があります。クリムゾン・ドーンの幹部ドライデン・ヴォスが所有する豪華ヨットの中で働いている使用人に、頭部が欠損したサイボーグがいます。このキャラクターは、ドクター・エヴァザンによって改造されたサイボーグである、という設定なのです。まあ、劇中一言も語られることのない設定な上、そのほかの場面で登場することもないキャラクターなので、知っていてもどうということのない話ですけど。「知っているのか、ドライデン!」くらいの話題と思っておいてください。

話が逸れ申した、ローディアンの話をしていたんでしたっけ。『クローン・ウォーズ』に登場したローディアは熱帯雨林に覆われた惑星です。ルーカスフィルムがディズニーに吸収される前の設定では、ローディアンは狩猟民族ということになっていました。彼らの文化の根底には狩猟への憧れが強く結びついており、それ故に賞金稼ぎとして銀河を舞台にした狩りを生業にする者も多いことで知られています。より平和的で流血を伴わない洗練された分野に狩猟への情熱を傾け、歌手や劇作家として成功している者もいるという話です。残念ながらローディアンが狩猟民族であるという設定が現在も生きているかについて、確証が得られておりません。しかしメタな見方をすれば、ハン・ソロを捕まえてジャバに引き渡そうとする賞金稼ぎグリードの存在あったればこそ、ローディアンは狩猟民族であるという設定が作られていったのでしょう。

ちなみに手前は「ハンが先に撃った」派です。ご承知置き願います。

さて、ローディアン・スプライスの話に戻りましょう。
ローディアン・スプライスについて、『Star Wars Galaxy's Edge : The official Black Spire Outpost Cookbook(スター・ウォーズ ギャラクシーズ・エッジ ブラックスパイア・アウトポスト公式料理ブック)』の著者、ストロノ・タッグ氏はこう述べています。「この強烈なカクテルは、すでにそれ自体が極めつけに有毒な成分に満ちた材料から作られる。」「さらに悪いことに、これらをもし正しい配合で混ぜることなく飲めば、大抵の種族にとって致命的な結果を招く。」「自暴自棄の密輸業者が何か証を立てるときに注文する一種の誓い酒のようなものだ。」

この記述から推測いたしますに、地球におけるカラバル豆を使った神判と同じものと考えられます。やましい事がある者は、おそるおそる少しずつ飲み込むため毒が回って死んでしまうが、無実を確信している者は恐れずに一気に飲み込むので命は助かるという。

とはいえ、ローディアン・スプライスの材料を確認しますに、地球人類にはさして有害なものとは思えませんでしたので、安心してレシピの通りに作ることが出来ました。後日、念のため材料をそれぞれ別々に飲んでみましたが、今もこのとおり生きております。

肝心の味は・・・、そうですね強いブランデーに漬けたコーヒーゼリーをイメージしていただければ近いものかと思います。