無駄口を叩いて渡る世間に鬼瓦

映画について、深読みしたり邪推したり。時折、映画以外の話をすることもあります。

Cluster Eye Tribe:ウォーハンマーRPG4版

前回の更新から一ヶ月が経過しました、皆様いかがお過ごしでしょうか。手前はと申しますと、『Horned Rat COMPANION(角在りし鼠 冒険の手引き)』がまだ発売されていないので、過去に出版された追加サプリを読み直して心を静めているところであります。

『Middenheim: City of the White Wolf(ミドンハイム:白狼の都市)』掲載の魔法アイテムがいつの間にか価格改訂されているのに気付いたり、『Archives of the Empire vol.1(帝国公文書集 第一巻)』のウッド・エルフに関する記述で『ウォーハンマー40K』のエルダーの設定と共通する箇所を探したりと、そうして日々を過ごしています。

そんなとき、ついに追加資料『Cluster Eye Tribe(百眼族)』の販売が始まったのです。ウォーゲーム版のウォーハンマーにも名前が登場するフォレスト・ゴブリンの有力部族が紹介されている待望の一冊、早速入手いたしました。

何故ゴブリンの追加データが待望の一冊なのか?とても良い質問です。

思い起こせば2版時代、混沌の暗黒神や吸血鬼、そして鼠人間スケイブンの設定まで出版されているのに、オークとゴブリンの追加設定本はとうとう作られずに展開が終了してしまいました。

エンパイアの人民が最も多く遭遇する種族は何か?そう、もちろん・・・人間ですね。

えーと、エンパイアの人民が最も多く遭遇するモンスター種族であるにも関わらず、オーク&ゴブリンの公式資料が少ないことを嘆いていたそこのアナタ!ついにフォレスト・ゴブリンの追加データ集がPDFで出版されました。

フォレスト・ゴブリンは基本ルールブックでも少しだけその存在に言及されており、森に生息する巨大グモを飼い慣らして乗騎や番犬として利用しているゴブリンの亜種であります。

彼らの特徴として、蜘蛛神を崇拝する習慣を持っていることが挙げられます。一般的にオークやゴブリンは、双子の神モルクとゴルクを崇拝しています。“喧嘩がマジで強ぇ上に頭も切れる”モルクと“頭が切れる上に喧嘩もマジで強ぇ”ゴルク・・・、逆だったかな?どちらがどちらだったか手前には区別が付かないのですが、オークたちにも区別は付いていない模様です。とにかくまあ武力と知恵を象徴する神々であることを知っていれば基本的な情報としては十分でしょう。

一方でフォレスト・ゴブリンは、森の深奥部で遭遇した大蜘蛛を神の使いとみなして崇拝するようになり、巨大な蜘蛛を乗騎として森を駆け、蜘蛛から採った毒を矢に塗って襲撃を行う、まさに蜘蛛づくしの連中であります。

『Cluster Eye Tribe』の主な内容は、フォレスト・ゴブリンの能力値、百眼族の実力者達のデータ紹介、百眼族が用いる戦術と襲撃部隊の編成、加えてその他追加情報が幾つか。

これだけでもまあまあ十分な設定集ですが、しかし何と言ってもこの追加サプリの目玉は「Creature Advancement Template(クリーチャー強化テンプレート)」でございましょう。

たとえばシナリオに登場させるオークの族長をデザインするときを想像してください。どのようにキャラクターを作成していましたか?

オークは大柄なほど地位が高いのでクリーチャー特性の<デカい>を追加して、もちろん<精鋭>と、リーダーだから<統率者>も追加して、技能を幾つか成長させ・・・、

あるいは「山賊王」のキャリアに沿って、オークにふさわしい異能と技能は残し、そうでもない技能は削って、装備しているアイテムを入れ替え、アイテムに合わせて習得する武器の技能を変更し・・・、

いずれも、それはそれで楽しいかもしれません。でも、結構手間がかかります。

『Cluster Eye Tribe』8ページに掲載されているテンプレートを基本ルールブック記載の一般的なモンスターに当てはめれば、ちょっと強いザコから中ボス、さらにはエンパイアの英雄達に匹敵するラスボス級の悪役がすぐに出来上がります。少しばかり計算してみましたところ、経験点換算で1500exp弱から15000exp以上まで、幅広い強さのNPCを簡単に作成可能!

このテンプレートがあれば悪役の幅は大きく広がります。イノシシに乗ったオークの射手、ミノタウロスのシャーマン、スケイブンの大将軍、オウガの暴君に至るまで。

とはいえ、テンプレートでの強化そのままでは異能の数でウォーハンマー世界の英雄達に水をあけられています。そこはキャラクターの個性に合わせて、適切な異能やクリーチャー特性を追加して強さを調整することで、GMそれぞれの工夫を凝らしていただければよろしいかと。『Enemy in Shadows COMPANION(影に潜みし敵 冒険の手引き)』をお持ちであれば、四大神それぞれに対応した混沌変異を与えてみるもの良いかもしれません。

というわけで、今回は獣王やオーク大族長、はたまた蜘蛛神の大神官をたちまちのうちに作り出すことができるGM必携の追加資料『Cluster Eye Tribe』の紹介でした。